イオン、銀河を統べる

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21世紀初頭、日本の地方都市に根を張る大型ショッピングモール「イオン」。
食料品、日用品、衣料品──生活に必要なものが全て揃うこの場所は、
いつしか「町の中心」となり、人々の暮らしを支えていた。

当時の経営陣は、単なる小売業の将来性に限界を感じていた。
そこで手を広げたのが通信(MVNO)と金融(イオン銀行)。
食料と通信と金融を抑えれば、人々の生活基盤を支配できる──
この戦略は、後の銀河統一の萌芽となる。


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イオンは「WAON」を電子マネーから生活通貨へと進化させ、
会員番号と銀行口座を統合し、IDひとつで
買い物・通信・金融・医療・教育が完結する生活圏プラットフォームを構築。

「お客様感謝デー」は単なる特売日から、
生活費が一律下がる国民生活補助日へと形を変えた。
WAONが鳴る音「ワオン♪」は、安心と繁栄のシンボルとなった。


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やがて国内市場が飽和し、イオンは国外進出を加速。
しかし出店ではなく、地域全体の生活インフラを丸ごと引き受ける契約を各国政府と結び、
経済不安定な地域では通貨WAONが現地通貨を駆逐していった。

WAONは価格変動を吸収し、各地の生活水準を均質化。
気づけば「イオン圏」の中では、国境はもはや意味を持たなくなった。


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地球外移住時代が到来すると、イオンはその経験を活かし、
火星・木星圏・小惑星帯コロニーへと物流・通信・金融を展開。
各惑星にイオン・メガモール・コロニーを建設し、
食料・資材・教育・医療・娯楽をワンストップで提供。

惑星間の交易はすべてイオン物流船団が担い、
各惑星の特産品や技術が全銀河で流通する経済圏が完成した。


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イオン会員番号は「国民番号」よりも価値を持ち、
地球人でも火星人でもなく「イオン市民」であることが最大の誇りとなった。

太陽系全域がWAON経済圏に統一され、
木星圏の衛星都市から土星のリング上モールまで、
どこにいても同じ生活とサービスが受けられるようになった。

しかし、それは終着点ではない。
未知の外縁天体との接触、
非イオン圏による資源封鎖、
そしてWAONを超える新通貨の台頭が迫る。

太陽系感謝デーの鐘が鳴る。
ワオン♪──その音と共に、本当の物語が始まった。